人事の仕事内容を解説!

転職お役立ち記事

更新日:2022-09-21

人事とは人材管理に関わる業務を担う職種のことを指し、企業の成長には欠かすことのできない重要な役割を担っています。しかしその仕事内容は各会社で異なるのです。ここではいくつか代表的な業務内容をご紹介します。

1、人事制度設計

人事制度とは、企業が人材を管理する上で基本となる仕組みのことを指します。また企業の経営資源の根幹である従業員の給与や昇給を定めるだけでなく、従業員が快適に過ごすための条件や仕組みづくりも含まれています。

具体的に、人事制度は等級制度、評価制度、報酬制度から成り立っています。等級制度は従業員を能力・職務・役割などで区分し、それに基づいて従業員の社内での位置づけや給与を決定する制度のことです。等級制度により「組織の求める人物」が明確になり課長や部長、取締役といった定義も明らかになるため、キャリアステップの際の指標となります。

評価制度は従業員を評価するための制度であり、どのような行動をとれば評価されるのかを定める制度のことをいいます。評価の方法は企業によってさまざまで、近年ではノーレイティングという「ランク付けをしない人事評価」を取り入れている企業も出てきました。

報酬制度は等級制度や評価制度で設計した内容を元に従業員の報酬を定めます。賃金、賞与、交通費などの規定を定めますが、売上や競合との賃金水準などを適切に見極めながら設計することが大切です。

「等級制度」→「評価制度」→「報酬制度」の流れで報酬が決定するのが一般的な人事制度の仕組みです。
 

2、評価制度設計

評価制度とは従業員の仕事への取り組み姿勢、能力、成果などを評価するための制度で、上記の人事制度設計にも含まれています。評価制度設計において大切なことは、従業員を査定するためのものではなく、人材育成の機会として機能するように構築するということです。また従業員のモチベーションや会社の業績と関係があるとも言われています。
 

3、MVV策定

MVVとはミッション、ビジョン、バリューの略であり日本語では使命、理念、行動指針と訳されます。バリューはビジョンの土台となり、ビジョンはミッションの土台となるように構成されます。組織はミッションの達成のためにビジョンを実現し、ビジョンの実現のためにバリューを定めるということです。

具体的に、ミッションとはなぜその組織が存在するのか、どのような価値を提供するのかなど、会社や組織の存在意義を示します。ビジョンは会社や組織の「理想」の将来像を表わします。そしてバリューではミッションやビジョンを実現するために具体的に何をしたらいいのかということを明確にする必要があります。

MVVを策定することで、決断するスピードが早くなる、採用の基準が明確化される、従業員エンゲージメントが向上するといったメリットが期待できます。
 

4、人事システム導入

人事システムとは、細葉管理や人事評価、給与計算など従業員の情報を管理するシステムです。企業が人事システムを導入する目的としては大きく2つあり、「業務の効率化」と「人材活用による経営推進」です。人事の業務は総務や労務など多岐にわたっているため、人事システムを導入することで人為的ミスの防止や従業員の作業工数やコストの削減が可能になります。また、勤怠管理や給与計算など各業務に特化したシステムがあるため、どのような業務を効率化したいのかというニーズに合わせた選択が必要となります。
 

5、採用戦略設計

採用戦略とは、企業が求める人材を獲得するために立てる戦略のことです。自社にとって不足しているポジションはどこなのか、どのような人物が適しているのかということを見極め、そのような人物像に近いターゲットへアプローチするためにはどのチャネルを利用するべきなのかなどと、採用までの流れを戦略的に立てていきます。少子高齢化による労働人口の減少など採用市場が激化するなか、継続的に採用活動を成功させるためにはしっかりと適切な採用戦略を立てる必要があります。そして経営の計画や事業計画をもとに、会社の目指す未来を見据えた採用活動の計画を立てることが、中長期的かつ経営に直結した採用成果を上げることにつながります。
 

6、採用

企業活動における経営資源の「ヒト・モノ・カネ・情報」の中でも特に重要な「ヒト」を雇い増やしてくのが採用の仕事です。自社にとってどのような人材が必要なのかを明確にし、候補者の中から適切な人材を選んでいきます。そもそも採用の目的は企業活動を滞らせないためだけでなく、企業の目指す未来のため、さらなる発展のためです。そして採用の種類は大きく「新卒採用」と「中途採用」に分かれます。

新卒採用とは、高校生や大学生などの就業経験のない学生が対象となり、同じ年に卒業する予定の学生に対して一斉に求人内容を公開し、説明会や選考試験を行い、卒業後に入社するという流れが一般的です。また、近年新卒採用の方法が多様化しており、就活サイトへの登録、合同説明会への参加、インターンシップへの参加など時代に合わせた方法で行われています。学生は複数の会社の選考を受けているため選考方法や対応、コミュニケーションにおいて常に他社と比較されています。そのため採用担当者全員で選考フローを練り上げ、スムーズに選考を行い他社と差異をつけることが大切です。

一方中途採用は、過去に就業経験がある人材が対象であり、欠員が出た場合や事業の推進にあたってある特定の経験が必要な場合に実施されます。新卒採用とは異なり、中途採用では即戦力としての活躍が求められます。
 

7、採用広報

採用広報とはその名の通り、採用における広報活動のことです。企業によっては採用マーケティングと言われることもある手法の一つで、求職者に対して自社を就職先・転職先として検討してもらい応募・採用につなげるために行う広報活動です。ターゲットに対してどのようなメッセージをどの媒体で届けるのかを考え、実際に設計から実施までを行います。また、単にリクルーティング活動を行うだけでなく、自社の認知度向上や理解を促すための採用ブランディング活動から、興味を持ってもらうためのコンテンツの作成を行い母集団の形成や応募者の質の向上を行うことが必要になります。たとえ優秀な人物を獲得できたとしても仕事内容が思っていたのと違った、企業の文化にギャップを感じたなどのミスマッチから早期離職となってしまっては採用は成功したとは言えません。そのため採用広報により「入社後の定着」を見据えた取り組みも大切になってきます。
 

8、労務

労務の仕事とは社員の労働環境を管理することです。具体的には、福利厚生、給与の計算や社会保険手続き、あるいは勤怠管理など事務的な手続きをします。福利厚生とは、従業員に対して支払う給与以外に、従業員やその家族を対象としたさまざまな生活福祉向上策を総称したものです。これは労働力の獲得や定着だけでなく、従業員のモチベーションや生産性を向上させる役割もあります。給与計算では、勤怠情報をもとに従業員に対して支払う給与の金額を算出します。給与額は月ごとに変動し、所得税や住民税などの手続きも必要となるため非常に複雑かつプレッシャーがかかる業務と言われています。社会保険の手続きでは、保険の手続き等に不備があった際に従業員が著しく不利益を被ることになるため、迅速かつ正確な手続きが求められます。民間企業の被雇用者においては、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険に加入する必要があります。勤怠管理とは、従業員の就業状況を正しく把握し管理することが必要になります。日々の出退勤時間や休憩時間、時間外労働時間や出勤日数などを把握しておかなければならないのです。

このように労務の業務内容は非常に多岐にわたっており、加えて多くの法令に精通していなくては務まらないポジションです。
 

9、総務

総務は企業全体や企業そのものに関わるさまざまな業務を担当し、他部署が担当しない仕事を担っています。会社の規模によっては総務が勤怠管理を担当する場合もあり、電話対応や来客対応、秘書業務などその業務は非常に多岐にわたります。
 

10、法務

法務の仕事には、売買契約や秘密保持契約、業務委託契約など各種契約内容を確認するほか、特許権や商標権など知的財産権の管理や訴訟問題の対処などその領域は広範囲にわたります。
 

11、経理

経理とは会社の経営において大切な「利益」や「資産」を生み出すためにお金の管理をすることです。具体的には、「日々の売上管理」「仕入れ管理」「給与・保険の管理・計算」などがあり、基本業務は年次決算日にまとめる「決算書」の作成を中心に日々発生するお金の動きを管理します。
 

12、研修設計&研修実施

雇用形態や労働環境の変化、グローバル化による経営環境の変化により、多くの企業にとって人材の育成が急務となっています。そのため、社内研修を行い一定の期間で社員に仕事で必要なスキルや知識・能力を身につけてもらい、社員自身が成長することで仕事や業務での成果につなげることが必要になるのです。

まず、経営層や現場管理者、社員から自社の現状の課題をヒアリングし、自社の社員に足りないスキルや知識、必要な能力などを分析します。実際に現場で働いている社員の声やニーズなどから研修のコンテンツを作成することがポイントです。その後、社内研修の目標を設定し、社内研修の結果の振り返りや次回以降どのように研修を改善するべきかということを振り返ることができるようにする必要があります。社内研修の目的や目標が決まった後は、それを達成するための詳細な内容を決めていきます。具体的には、研修の方法、テーマ、各研修における目標、期間、場所、人数などです。こうして作成した内容をもとに、研修を実施する上での基本的なルールも定めておくと良いでしょう。

そして実施にあたっては社員が実際の業務に活かすためのイメージを持つことができ、楽しみながら主体的に参加してもらえるような工夫も重要になります。